チャンネル収益
総収入
- 年収
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- 月収
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- 日給
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- 時給
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※再生回数から推測
チャンネル概要
チャンネル登録者数
チャンネル開設：2022-05-24 11:25:23
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総再生回数
499,865回
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投稿本数
82本
チャンネル説明文
路地裏には占い師がいる
私は気まぐれな人間かと言われれば、そうでもない。
ただ、あの日だけは違っていた。
あのなんてことない…いや、少し奇妙な路地裏に出会うまでは。
その日私はいつものように、近くのコーヒーショップへお気に入りのラテを買いに向かっていた。
そろそろコーヒーの香りがしてくるだろうかというところで、何か小さな違和感を覚えて足を止めた。
なんという事はない、細い路地裏への入り口。
いつもは当たり前のように素通りしてしまう、というかしていたその入り口。
気付くと私は狭い場所を好む猫のように、その路地裏へふらりと吸い込まれていた。
たまには遠回りも悪くないか。
「ニャーォ」
猫は嫌いじゃない。
鳴き声を聴けばその所在を探してしまう程度には好きだ。まさに今そうしているように。
視界に影のようなその姿を捉えたのは、私を待っていたかのように、数歩先に重力をまるで感じさせずにひらりと着地したその時だった。
無意識に猫と視線を合わせるようにしゃがんで、チッチッと舌を鳴らすと同時に猫は、私の横を無情にも素通りしてしまう。
内心で薄情なやつめ、と苦笑いしながら猫が歩いていく先を振り返ると、そこには簡素な机と椅子、そしてそこに座る小さな人影があった。
今しがた確かにそこを歩いてきたが、机と椅子なんかあったか？
そうか、目を疑うというのはこの事か、などと呑気に考えながら立ち尽くしていると、
「いらっしゃいませ」
女の声だった。フードを目深に被っていて、顔を窺い知る事はできない。
足元には路地占【タロット占いあり〼】と書かれた看板が置いてある。怪しい。
踵を返し立ち去ろうとすると、
「しばらくはパンケーキとミルクだね、クロ」
と聞こえよがしに女が呟いた。
あの映画のワンシーンが頭に浮かぶ。ジブリを嫌いな日本人はいるのだろうか？少なくとも私はそうじゃない。
好奇心が猜疑心にわずかに勝った瞬間だった。
立ち去りかけた一歩を引っ込めて、簡素な椅子目がけて歩き出した。
これが不思議と不気味の入り混じったあの“路地裏”との出会いだった。
「ようこそ路地占へ」
